HSPが働きやすい職場を作る4つの法則

(1)はじめに

HSP(Highly Sensitive Person、高感受性者)は、人一倍「五感」が鋭く、刺激やストレスを受けやすい気質を持つ人のことです。

HSPの提唱者であるエレイン・アーロン氏は以下のように説明しています。

全人口の15%から20%が当てはまる。

その性質を備えていると、周囲の些細なことにもよく気が付き、多くの状況で有利になる。

一方で、刺激の強い環境に長時間いると気圧されやすく、景色や音にやられ、神経系がへとへとに疲れてしまう。

敏感であることには、利点も欠点もある。

引用元:エレイン・N・アーロン(2020)

『敏感すぎる私の活かし方』(パンローリング出版)

最近では著名人がHSPであることを公表する場面も見受けられます。

特に若者には、自分もHSPなのではないかと自覚するケースが増えているようです。

組織の中にも、HSPで働きづらさを感じている人がいるかもしれません。

HSPナチュラルガイドは、HSPさんに、副業・複業で自分らしく自由に豊かに生きようと提案しています。

しかし、だれもが副業起業で羽ばたけるわけではありません。

多くのHSPさんが、組織の中で、不自由さにがまんして仕事をし続けるのだと思います。

そこで企業経営者と組織管理者に向けて、HSPさんが働きやすい職場を作ることの価値と、、HSPさんが働きやすい職場の作り方をまとめました。

少しでも多くの組織がHSPのことを理解して、HSPさんに優しい会社や組織になっていっていただけることを祈っています。

(2)柔軟な労働スケジュールと労働形態

HSPにはストレスが蓄積しやすいため、柔軟な労働スケジュールを提供し、ストレスを軽減する余裕を持たせます。

①フレックスタイムで時差出勤をして出勤時間をずらして、人ごみや混雑した電車を避けます。

②リモートワークで自分のペースで仕事ができるようにします。

③適切な休憩時間を取りいれて、リフレッシュする機会を提供しましょう。

④休みのとりやすい制度にします。

繊細な気質を持っているがゆえ、HSPの人は疲れやすいといった特徴があります。

心身の健康を図るためにも休みが必要ですが、HSPの中には周囲を気にして自分から休みを言いだせない人が多くいます。

もし、仕事が忙しくなどの理由で休みを取りづらい職場であれば、HSPは十分な休みを取れないことで、体調を崩してしまうことがあります。

(3)HSPの特性を生かした仕事の内容

HSPの人は繊細であるがゆえさまざまなストレスに晒されやすいですが、一方で思考が深い、感受性が豊か、共感力が高いといった長所があります。これらの長所を活かせる仕事につけると本人も会社も幸せになります。

  • 正確性や緻密性を必要とする仕事が向いている

HSPは仕事の細かい部分にも心遣いが行き届く性質をもっているため、正確性を求められる仕事には適任です。

また、慎重に考えて行動をとる傾向にあるので、不注意によるミスが少ないといった長所もあります。

数字の正確性が求められる経理や緻密なデータ分析を必要とするマーケティング業務などが向いています。

  •  クリエイティブな仕事が向いている

HSPは感受性がとても豊かで、ひとつの事に熱中するととことん追求する職人肌な一面も持ち合わせています。

また、自分の興味があることには常にアンテナを高く張って情報収集をおこなう側面もあるため、クリエイティブな仕事にも向いています。

たとえば、創造力を活かせるデザイナーやライター職や発想力を必要とされる商品企画といった仕事が適しています。

  • 共感力を活かせる仕事が向いている

HSPは相手の気持ちを敏感に察して気持ちにそっと寄り添うことができるので、高い共感力を活かせる仕事は安心して任せられます。

特に、人への感情移入が強いことから、「誰かの役に立つ仕事」であればとても適任です。

たとえば、人に何かを教えるトレーナーのような仕事が向いています。

  • 自分のペースでできない仕事は向かない

HSPの気質の中には、深く物事を考えて行動するといった気質があります。

仕事でも、ミスが無いようじっくりと考えてから慎重に行動するため、時間がかかることが往々にしてあります。

HSPはペースを乱されると特にストレスを抱えてしまい、十分なパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。

またスピード感をもって取り組まなければならない仕事やプロジェクトだと、人よりも時間がかかってしまうことがプレッシャーとなってストレスを感じてしまいます。

さらに、周囲から急かされることで、過度のストレスに晒されることになってしまいます。

HSPは自分のペースでできて、他人と比較されない業務が向いています。

HSPは自己肯定感が低く自己主張が苦手な方が多いので、締め切りが厳しい業務や常に他人との評価を気にしなければならない業務では、実力を発揮できない可能性が高いです。

  •  ノルマや目標の達成が求められる仕事は向かない

営業職のようにノルマや目標の達成が求められる職場環境は、HSPに過度なプレッシャーを与えてしまうので向きません。

ノルマや目標が達成できなかった際に自分を追い込んでしまったり、競争が激しければその環境そのものをストレスに感じます。

  • 余裕がなくギスギスした雰囲気の職場は向かない

業務量の多さなどで忙しく余裕のない職場は、ギスギスした雰囲気に陥りがちです。

こうした職場では、周囲の負の感情や言動に影響を受けやすいHSPにとって非常にストレスになります。

ただでさえ忙しい職場で集中力を欠いてしまうと、ミスや作業遅延につながり、悪循環となってしまうでしょう。

またHSPは共感性が高く、周囲の雰囲気を敏感にキャッチしてしまいます。

周囲の怒鳴り声などを聞くと、まるで自分が怒鳴られているかのように感じてしまい、仕事に集中できないどころか非常に大きなストレスになります。

  • クレーム処理などのトラブルに対処する仕事は向かない

たとえば、顧客との間で生じたトラブルによるクレーム処理はHSPには向きません。

この時、相手から一方的に責め立てられることがあれば、心の境界線がもろいHSPの人は、非が別の所にあっても自分のせいのように感じてしまい、自分を責め立ててしまいます。

また、怒りのパワーがHSPの繊細な感情に大きなダメージを与えてしまいます。

  • マルチタスクが求められる職場は向かない

HSPは1つの物事を深く考え、そこに向けて集中するのは得意ですが、複数の業務を同時並行して遂行するようなマルチタスクが苦手なタイプが多いとされています。

そのため、並走する業務の多さに比例して、それぞれの精度や生産性が落ちてしまう可能性があります。

それが職場全体の問題になったり、HSPの従業員本人が自分の能力に自信をなくしてしまうのは大きな損失です。

(4)刺激の少ないオフィス環境

オフィス環境での騒音や刺激を最小限に抑え、静かな作業スペースや休憩スペースを提供することが役立ちます。

HSPは蛍光灯の眩しさや鳴り響く電話の音、大きな声での雑談、工事中の音、汗のにおい、食事のにおい、埃などにも敏感に反応してしまって、つらい思いをします。

HSPでない人にとっては些細なことでも、HSPはストレスを強く感じることがあります。

視界に入る、貧乏ゆすりやペンを回すクセなどが原因で仕事に集中できないなどがあります。

  • 個人スペースをつくる

 HSPは静かな環境で集中しやすいため、個別の作業スペースを提供することが役立ちます。オープンオフィスの場合、仕切りやノイズキャンセリングの機器を使用して、静かなエリアを確保します。

  • 自然光を取り入れる

自然光はHSPの気分を向上させ、生産性を高めるのに役立ちます。

③リラックススペース

ストレス軽減のためのリラックススペースや休憩室を設け、リフレッシュできる場所を提供します。

  • 静かな作業環境

HSPは静かな環境で集中しやすいため、静かな作業環境を確保することが大切です。

  • 騒音を最小限に抑える

静かな作業スペースを確保します。

ノイズキャンセリングヘッドフォンの提供も検討します。

(5)感受性を尊重する組織文化

同じ情報を受け取っても、非HSPとHSPでは受け取る情報の量がそもそも違っています。

また、その情報処理プロセスもHSPのほうが多く、複雑です。

その結果、外面に現れる反応としては、HSPは積極性に乏しかったり、やる気が足りないように見えることがあります。

しかし、これは、HSPがいろいろ気づき過ぎて、それをああでもないこうでもないと自分の中で思考を堂々巡りしている状態なだけなのです。

HSPのこうした特性を学び、組織全体で感受性を尊重し、適切なサポートを提供する組織文化を育てていけば、組織全体が見違えるように高いパフォーマンスをあげる組織に変わることができます。

感受性を尊重する組織は、お客さまの声にも、社員の声にもきちんと耳を傾けることができるからです。

従業員や管理職に対して、HSPについての教育と意識向上のトレーニングを提供します。HSPの特性や課題に対する理解が深まり、協力関係が改善されるでしょう。

感受性の重要性: HSPの感受性が組織に与える影響を強調し、感受性を尊重する文化を醸成します。

ところで自称HSPの存在をたまに聞きます。

「わたしはHSPだから」とHSPをアピールして特別な配慮を求める人がいます。

自称HSPはほぼ偽物です。

むしろ、「HSPだから」なんて言ったら、相手には迷惑じゃないか、気を遣わせたら申し訳ないと思うのがHSPなのです。

大抵の日本人は多かれ少なかれ、だれもが繊細な感性を持っています。

そう考えると、HSPというより、繊細な感性に配慮できる組織になるための教育トレーニングと組織文化作りが大切です。

  • 肯定的なフィードバック

HSPの従業員に対して、彼らの成果を積極的に認め、肯定的なフィードバックを提供しましょう。彼らは感受性が高いため、評価されるとがんばりますが、否定されると落ち込みます。

(6)終わりに

HSPが働きやすい職場を作る4つの法則をあげましたが、

これらはHSPの従業員だけではなく、全ての従業員に同様の環境を用意してください。

なぜならHSPはその敏感な感覚から、「自分だけ特別扱いされている」ということを感じ取り、それがストレスの元となってしまうからです。

また、非HSPの従業員にも、公平でないと非難されるからです。

それよりももっと重要なことがあります。

柔軟な労働スケジュールと労働形態

特性を生かした仕事の内容

刺激の少ないオフィス環境

感受性を尊重する組織文化

この4つのそろった職場は、HSPであろうと、非HSPであろうと、多くの人が求めている職場環境です。

つまりHSPの働きやすい職場をつくる取り組みは、全従業員の幸せな職場を作る取り組みそのものなのです。

これからの企業経営では、AIにどのような仕事を命じるかで、経営のパフォ-マンスが決まってきます。

するとAIに何をさせたらよいのかを考え出す優秀な人材の獲得が企業の勝敗を決めることになります。

HSPの働きやすい職場を作ることは、優秀な人材を集めて、彼らの幸福度を上げて離職率を下げ、厳しい企業間競争に勝ち抜く、もっともシンプルで効果的な方策なのです。

もちろん、HSPの戦力化だけでも十分な見返りがあります。

問題の本質を的確に把握する能力があるHSPは戦略立案や問題解決に向いています。

他人の感情やニーズに対して敏感であり、共感の力が強いHSPですから、リーダーシップにおいて優れた資質を持っています。

創造性: HSPは感受性が高く、独自の視点からアイデアを生み出すことができます。クリエイティブな分野での活躍が期待されます。

HSPの感受性は、周囲の刺激や情報を豊かに捉えることができ、新しいアイデアや視点を生み出す土壌となります。

HSPの感情の豊かさは、芸術や執筆などの創造的な活動に取り入れることができます。

企業にとってこれまでは扱いづらいと感じることもあったHSPだったかもしれませんが、

それは組織の側がHSPの能力を活かしきれていなかったのです

これを機に、ぜひ、自社のありかたを見直していただけたら幸いです。

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